はじめに
本投稿では、ショートショート 第14作 「創作詩 ”肌に刻まれた傷” 」を発表します。
娘は学校での担任教師とのトラブルが原因で学校に行けなくなりました。自室への引きこもりに始まり、息子との壮絶な兄妹喧嘩、母親との確執と共依存、私に対する嫌悪と負のスパイラルが止まりませんでした。
そして、恐れていたことが起こりました。その後も、強度行動障害は繰り返されました。あれから5年が経って、漸く平穏を取り戻しつつありますが、まだまだ先行き多難な娘です。
《創作ショートショートのテーマ》
辛い毎日から逃れるために、思考と感情のバランス調整の一環として詩や掌編小説(ショートショート)の創作を始めました。
「発達障害児の世界」と「健常の大人の世界」とが不連続に交錯融合する「奇妙で切ない不条理の世界」が主題です。具体的には、発達障害者・精神障害者・生きづらさを感じている人々・世の中の偏見や差別に苦しんでいる人々が登場する物語です。
携帯電話の画面で詩をご覧の方は、携帯電話を横向きにしていただくと詩の各文が改行しませんので、より読みやすくなります。
本編: 肌に刻まれた傷
子が不登校になって、半年が過ぎた。
事あるごとに、声をかけてみた、が・・・
部屋から、出てくることはなかった。
そして、事件は起きた・・・
その後も、定期的に赤く繰り返された。
せめて、文字なら受けてもらえるかと・・・
四つ葉模様の紙に、メッセージを書こうとした。
書いては消し、消しては書いた。
何度、繰り返したことかと・・・
子の誕生日、プレゼントに手紙を添えた。
もろとも、突き返された・・・
一年〜二年〜三年と、青い夜が続いた。
かくして、私の言葉はついに届かなかった、が・・・
さらなる時を経て、この黄色い詩篇に刻まれた。
終わり
編集後記
この詩は前半と後半の文末レイアウトが綺麗なシンメトリー(脚韻を含む)になっています。時の流れの上り下りを演出するために、視覚的な様式美にもこだわりました。
ところで、私は現代アーティストの奈良美智さんの絵が大好きです。彼の絵に描かれた「顔の大きな少女」が私の娘の気持ちを代弁してくれるかのように感じられ、心が癒されます。
奈良さんのおかげで、私は自暴自棄になることなく、今日までなんとか頑張ることができました。下記の書籍は、私が辛いときによく見ていた本です。
参考情報
●【まとめ記事】その他のショートショート(詩または掌編小説)
●【まとめ記事】マメタ家の紹介と近況報告
●【まとめ記事】毎日が辛い当事者へ
以上
2024年9月5日
香月 融