はじめに
本投稿では、ショートショート 第17作 「創作詩 ”裏山の一夜” 」を発表します。
発達障害があると本人も辛いでしょうが、その家族もかなり疲弊します。学校の教師の中には、「家族の問題だから」と言わんばかりに他人事のように助言する人がいます。
私の経験上、家族内であれやこれやと一生懸命にコミュニケーションを図ったところで解決に至ることは滅多にありません。
たわいもない会話が自然と発生したとき、偶然に本人に気づきがあったとき、家族に不慮の出来事が起こったとき、初めて流れが変わるように思います。それでもなかなか変われないとき、動物が苦難を引き受けてくれることがあります。
《創作ショートショートのテーマ》
辛い毎日から逃れるために、思考と感情のバランス調整の一環として詩や掌編小説(ショートショート)の創作を始めました。
「発達障害児の世界」と「健常の大人の世界」とが不連続に交錯融合する「奇妙で切ない不条理の世界」が主題です。具体的には、発達障害者・精神障害者・生きづらさを感じている人々・世の中の偏見や差別に苦しんでいる人々が登場する物語です。
携帯電話の画面で詩をご覧の方は、携帯電話を横向きにしていただくと詩の各文が改行しませんので、より読みやすくなります。できましたら、パソコンの画面でご覧ください。各連および各行のレイアウトの美しさを味わうことができます。
本編:裏山の一夜
九月半ばの熱帯夜、嫌な記憶が蘇り、なっかなか寝付けない!
事あるごとに、
子の担任教師は私達に言い放った、
「家庭内でよく話し合ってください」と、
話し合いで解決したことなど一度たりともないというのに。
夜明け前、
窓ガラスが割れる音、
裏山の彼方に降り注ぐ大量の流星群、
飼っていた黒ウサギが確信犯のごとく脱走した。
その瞬間、
偶然あるいは必然に、
舞い上がった黄色い涼風が、
我が家のロフトで汗かき眠る子の髪を揺らした。
夜が明けて、
むっくりと起きた子は、
黒ウサギを探しに再び登校し始めた、
学校は裏山を越した塩湖のほとりに佇んでいた。
往々にして、脈絡なく、突然に、山は動き出す!
おわり
編集後記
本詩は、過去の投稿記事「掌編小説 ”校舎に宿る黒ウサギ”」からインスピレーションを得て、ロシアの作曲家 ”ムソルグスキー” の管弦楽曲「はげ山の一夜」をモチーフに私の体験を編み込んだ作品です。
参考情報
●【まとめ記事】その他のショートショート(詩または掌編小説)
●【まとめ記事】マメタ家の紹介と近況報告
●【まとめ記事】毎日が辛い当事者へ
●【投稿記事】創作詩「校舎に宿る黒ウサギ」2022年1月22日投稿
以上
2024年9月14日
香月 融