ショートショート

創作詩10:鉄格子の窓から見た光景

創作詩「鉄格子の窓から見た光景」(精神病棟での妻との会話)サムネイル画像

はじめに

本投稿では、ショートショート 第16作 「創作詩 ”鉄格子の窓から見た光景” 」を発表します。

 2023年3月1日に投稿した掌編小説 長い坂の先に立つ病院の一場面を抽出して、詩に紡ぎました。「隔離病棟に入院している妻を見舞った男のモチーフ」はそのまま活かして、風景描写のみを少し改変しています。


《創作ショートショートのテーマ》 

 辛い毎日から逃れるために、思考と感情のバランス調整の一環として詩や掌編小説(ショートショート)の創作を始めました。

「発達障害児の世界」と「健常の大人の世界」とが不連続に交錯融合する「奇妙で切ない不条理の世界」が主題です。具体的には、発達障害者・精神障害者・生きづらさを感じている人々・世の中の偏見や差別に苦しんでいる人々が登場する物語です。

 携帯電話の画面で詩をご覧の方は、携帯電話を横向きにしていただくと詩の各文が改行しませんので、より読みやすくなります。

本編:鉄格子の窓から見た光景


病室から中庭を見下ろすと、
小柄な女の子がベンチに腰掛けていた。

見た目は中学生くらいだろうか? 
真夏だというのに、
その子は厚めの長袖シャツを着て、
首にはチェック模様のマフラーを巻いていた。

私の視線の先に気づいた妻は、こう言った。
「あの子、かわいそうなの」
「いじめを苦にして、自殺未遂したらしいのよ」
「毎日、だれとも喋らないで、あそこに座ってるわ」

女の子のそばには、
妙に傾いたオリーブの木が立っていた。

おわり

イメージ画像「オリーブの木」(実が付いた枝葉を下から見上げるアングル)

参考情報

●【まとめ記事】その他のショートショート(詩または掌編小説)

●【まとめ記事】マメタ家の紹介と近況報告

●【まとめ記事】毎日が辛い当事者へ

●【投稿記事】掌編小説 長い坂の先に立つ病院 2023年3月1日 投稿

以上

2024年9月10日

香月 融