家族へのキャリア支援

「発達障害者家族であること」をご近所さんにカミングアウトするべきか?

⭐️ 記事ボリュームは11,011文字です。長文ですので、お時間がない方は冒頭の【結論・要約】だけ読んでください。

はじめに

 子供の発達障害(グレーも含む)が判明したとき、そのことをご近所さん(特に隣人の方)に告知するかどうかは悩ましい問題です。この点に関しては正解があるわけではなく、いろいろな状況を総合的に考慮して最終的な判断をするのが良いと思います。

 ところが、世間体や子供への悪影響を気にするがゆえにご近所さんに告知していない方も多いのが現状です。

マメタ父さん
マメタ父さん
気持ちは痛いほどよくわかります。

 実際、ご近所さんに告知した結果、「微妙に距離をもたれるようになった」「あまり話してもらえなくなった」「子供が仲間外れにされるようになった」という例もあります。

 逆に、告知しない場合、隣人の方に大声・泣き声・怒鳴り声、騒音、悪臭、ゴミを窓から投げ捨て、暴力などの迷惑をかけてしまって、修復できないほどに険悪な関係になってしまう場合もあります。
 また、ご近所さんには悪意はなくても、あることないことを風評されることもあります。

マメタ父さん
マメタ父さん
いわゆるうわさ話ですが、偏見をもたれてしまうと発達障害者家族の当事者が一番辛い思いをします。

 本記事では、私自身の体験談も交えながら様々な状況に応じた解決策をご紹介します。

 
 本記事の結論・要約は次のとおりです。

・発達障害の特性が原因でご近所さんにご迷惑をかけてしまう可能性が高い場合は、トラブル予防の観点から少なくとも自宅の左右と後方のお隣りさんには発達障害者家族であることを告知した方がよい。

・発達障害者家族であることを前提に、長期的スパンでコツコツとご近所さんとの人間関係を構築して地域に溶け込んでいくことは、発達障害者の教育やキャリア支援の面でメリットが大きい。


 本記事で紹介する「お隣さんへの騒音対策」のおすすめグッズは次のとおりです。

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発達障害をカミングアウトするべきか否かの判断に必要な情報収集

 発達障害者家族であることをご近所さんにカミングアウトするべきかどうかは、「発達障害当事者の年齢」、「発達障害の程度」、「その場所に居住に至った経緯(居住期間)」、「隣人の家族構成」などによっても判断が異なるだろうと思います。具体的なパターンは次の通りです。

● 発達障害者の年齢
乳幼児〜小学生低学年
小学生中学年〜高学年
・高校生
・大学生
・社会人

● 発達障害の程度
・軽度(隣人に迷惑をかけるほどではない)
中度(大声、騒音、悪臭、暴力、イタズラなどで隣人に迷惑をかけている状態)
重度(常に保護者の補助が必要な状態)

● 現在の居住の経緯と期間(お隣さんとの人間関係の深さのレベル
・転居した当時(または子供が生まれた当時)は子供が発達障害であるとの認識が家族にも隣人にもなかったが、その後に発達障害と判明した場合
・転居した時点で子供が発達障害であることがわかっていた場合

● 隣人の家族構成
乳幼児または小学生がいる核家族の場合
・中学生〜大学生または若い社会人の子供がいる核家族の場合
・子供がいない夫婦のみの核家族または両親と同居の二世代家族
・すでに子供が独立している夫婦のみの家族
・独身の一人暮らし


 結論としては、次の3つの場合はできるだけ早い段階で発達障害者家族であることを少なくともお隣さんには告知する方が良い」と考えています。これらは上述のパターン区分のオレンジ色の記述部分に該当します。


① あなたのご家族の発達障害者(特に子供)が幼少または小学生
② あなたのご家族(発達障害者を含む)がご近所さんに迷惑をかける可能性が強い場合(強度行動障害がある場合など)
お隣さんのご家族に乳幼児たは小学生の子供がいる場合

 まず、①について詳しく説明します。発達障害者が幼少または小学生の場合、発達障害者の安全を確保するために隣人との情報共有が必須と考えています。例えば、発達障害者の特性がADHDの場合、次のようなことが起こりうるのですが、その際の事故を未然に防ぐことが大切です。特に発達障害児が幼少の場合は大きな怪我につながりやすいからです。


・突発的に夜間に脱走
・二階から飛び降り
・二階の窓から屋根上へ外出
・隣の家に侵入
・自宅周辺や隣の敷地内に物やゴミを投げ捨て

 一方、②の「発達障害者またはその家族がご近所さんに迷惑をかける可能性がある場合」は、お隣さんへの配慮が目的です。私の子供たちや知人の発達障害者家族の事例では、知的障害と発達障害にともなう強度行動障害があるときはほぼ100%の確率でお隣さんにご迷惑をかけてしまいます。

 具体的には上述のとおり、迷惑の原因は「大声、騒音、悪臭、暴力、物を投げ捨て、イタズラ」です。
 特に、夜間での騒音や大声は多大な迷惑になりますので、事前にカミングアウトして発達障害の特性理解を得ておくとトラブルになる確率が小さくなります。
 また、自宅の窓をペアガラス仕様に改築したり、防音カーテンを設置するなど防音対策をすることも有効なトラブル回避作になります。

 ちなみに、騒音の問題は発達障害者だけでなく保護者が子供を叱る怒鳴り声も含まれます。これは、保護者自身も加害的にお隣さんにご迷惑をかけてしまう事例の一つです。
 その背景として、「ご両親のいずれかまたは両者に発達障害の傾向がある」ということがあります。特に、本人に自覚がない場合は非常に厄介です。

マメタ父さん
マメタ父さん
これは本題からちょっと逸れますので、ここでは詳細を述べません。虐待やニグレクトも含めて非常にセンシティブな問題なので別途投稿予定です。

 最後に③の「お隣さんに幼少または小学生の子供がいる場合」です。これが一番重要です。なぜなら、上述のとおりお隣さんのお子様に間接的に悪影響を与えてしまう場合があるからです。特に発達障害児が幼少の子供に危害を加える可能性もゼロではありません。

マメタ父さん
マメタ父さん
大事故になった事例も報告されています。絶対に注意してください。

 発達障害者家族であることを隣人に告知をする場合、隣人の方との人間関係を深めることはトラブル予防により役立ちます。
 実際、子供が発達障害と診断される前からそこに長く居住して隣人との人間関係が構築できている場合はカミングアウトしたとしても受け入れてもらいやすいでしょう。
 そうでない場合は、できるだけ早い段階で隣人にカミングアウトしてある程度は発達障害特性の理解を得ておいた方がベターです。

 そして、発達障害の問題とは関係あるなしに関わらず、適度に会話をするなどしてある程度の距離感で隣人とは仲良くする努力が必要だと思います。

お隣さんとの挨拶と会話

カミングアウトの内容について家族内でコンセンサスをとること

 多くの家族にとって、発達障害者家族であることをご近所さんにカミングアウトする決断はそう簡単なことではありません。

マメタ父さん
マメタ父さん
誰でも多かれ少なかれ抵抗感があり、躊躇するものです。

 発達障害家族であることをカミングアウトするか否か、カミングアウトする場合の条件(次の3項目)について家族内でコンセンサスをとっておくことが重要です。


① 告知の対象者(お隣さん、ご近所付き合いのある方、学区関係者、自治会役員など)

② 発達障害の特性(ASD、ADHD、LD、知的障害、その他)と程度(軽度、中度、重度)

③ 実際の問題行動(起こりうるトラブルの可能性)


 どこまで開示するかは状況によって異なりますが、発達障害の特性に伴うトラブルの可能性についてお隣さんに事前に説明しておいた方が問題が大きくなることを回避しやすいと思います。

 さて、実際は家族内でコンセンサスをとることがなかなか難しい場合があります。例えば、夫婦間で意見が一致しないときです。

マメタ父さん
マメタ父さん
発達障害児本人が「自身の発達障害を公表して欲しくない」と望む場合もあります。

 この場合はある程度の時間をかけて話し合いをしつつ、まずは最小限の内容で告知するに留めるのも、打ち手の一つです。子供の状況を見ながら臨機応変に情報開示していくなどの工夫が有効です。

マメタ父さん
マメタ父さん
焦らずゆっくりでOKですよ。

 例えば、お隣さんに明らかに迷惑をかけているにもかかわらず、保護者のいずれかが「そもそも我が子が発達障害であることを認めない場合」「世間体を気にしてカミングアウトに頑なに反対する場合」などはご近所さんへのカミングアウトが著しく遅れてしまいます。
 その結果、取り返しがつかない関係性になってしまう事例もあります。

マメタ父さん
マメタ父さん
我が子の発達障害を受容できない親の問題は複雑なので、別途記事にして投稿します。

発達障害の家庭事情について、最初から詳細をカミングアウトしてはならない!

 仮にまずはお隣さんだけに発達障害者家族であることをカミングアウトすることで家族内でコンセンサスが取れたとして、最初のカミングアウトではどの程度まで情報開示するべきでしょうか?

 結論から申しますと、まずは必要最低限の内容だけを告知するのが良いと思います。なぜなら、お隣さんがどのような人物なのかなどの情報が不十分だからです。これは非常に大事なことです。具体的には、次の2つです。


家族の中で発達障害の当事者は誰か? (例:長男、長女、次男、二女)

② 具体的な発達障害特 (例: 自閉症スペクトラム障害=アスペルガー症候群、注意欠如多動症、学習障害、知的障害)

③ お隣さんにご迷惑をかける可能性が高い症状(例:騒音、大声、飛び出し、深夜徘徊、ゴミ捨て、悪臭、朝の通学の遅れ、訪問看護車・パトカー・救急車・消防車の来宅など)


 お隣さんやご近所さんとのお付き合いが深まってそれぞれの方々の性格や好みなどがわかってくれば、それに応じて段階的に発達障害者家族としての困り事を開示して理解を求めていくのが良いです。

 なぜなら、発達障害に対する理解が社会的にまだまだ未熟な段階ですので、お隣さんとは少しずつ距離を詰めていくことが無難です。
 もちろん、発達障害の特性をなかなか理解してもらえない場合もありますが、ある程度の気遣いをしつつ時間をかけて関係性を作っていく必要があるのかな、と思います。

我が家の実例

 我が家の事例を詳しく報告します。息子が5歳の時に転勤で九州から関西のハイツに転居しました。このときは息子は発達障害と思われる症状は目立たず診断も受けていませんでした。
 ただ、妻が息子を叱る怒鳴り声や子供の泣き声は左右のお隣さんにご迷惑をかけていたと思います。

マメタ父さん
マメタ父さん
妻は情緒が不安定になることが頻繁にありましたが、このときは私自身が精神障害や発達障害に関する知識不足で必要な対応ができていませんでした。

 息子が8歳の時に同市内の一軒家に転居しました。このあたりの時期から息子は学校でもトラブルが増えていきました。息子は9歳の時に軽度の知的障害をともなうADHDとASDの診断を受けました。

マメタ父さん
マメタ父さん
息子が初めて発達障害診断を受けた8年前は、まだ「広汎性発達障害」という診断名でした。

 これを契機に、息子の療育手帳を取得して、普通学級から特別支援学級に移りました。この時期は、自宅周辺では子供の泣き声と妻の怒鳴り声がかなり響いていたと思います。

マメタ父さん
マメタ父さん
かつて、我が家では子供が騒いただり泣いたりする声に加えて夫婦喧嘩の怒鳴り合いもありました。ある時、右側のお隣さんの窓の雨戸が夜間だけでなく日中も閉められていることに気づきました。「やはり騒音でご迷惑をかけているのだろうな」と感じました。

 そんな時、お隣さんを巻き込んでちょっとした事件が起こります。私が夜10時ごろに帰宅すると、息子が家から追い出され玄関前で大泣きしていました。家の中からは妻の怒鳴り声が聞こえてきました。
 すると左側のお隣さんがわざわざ外に出てきて、「お宅は大丈夫ですか? いつも子供が泣き叫んでますよ!」と私に教えてくれました。

 さらにその1年後に大事件が起きます。今度は妻と喧嘩した息子がパニックになり2階の窓から屋根の上に飛び出して動けなくなってしまったのです。私はやむなく119番に連絡を入れて救出要請しました。
 15分もしないうちに、消防車1台とパトカー1台がやってきました。ご近所の皆さんもびっくりされたことでしょう。

マメタ父さん
マメタ父さん
ちなみに、消防のレスキュー隊によって息子は無事に救出されました。たぶん、これで私の寿命は3年は縮まったと思います(笑)。

 私は、この事件をきっかけに漸く、左右と後方のお隣さん3世帯のそれぞれの奥さんに息子が発達障害(ADHDの特性も簡単に説明)であることを最小限に情報共有する形で告知して、これまでご迷惑をおかけしたことをお詫びしました。
 また、今後においてもご迷惑をおかけする可能性のあること(叫び声・怒鳴り声・泣き声、自宅からの急な飛び出し、屋根の上を徘徊、パトカー・救急車・消防車の来宅)を一通りお話しました。

 その後も息子は「屋根上でパニック、家出、家庭内暴力」を繰り返したために、何度も自宅に消防車やパトカーがやってきましたが、ご近所さんには息子が発達障害であることを理解していただいているので、寛容的に受け止めていただいています

マメタ父さん
マメタ父さん
お隣さんは本当に優しい方で、クレームは一切なく我慢していただいています → 本当に申し訳ない気持ちです。

 ちなみに、妻が今津生姜年から自治会の役員になりましたので、自治会長さんには万一に備えて「子供が発達障害であること」と「妻自身に精神障害があること」はうっすらと話していると思います。

 
【私の反省点】

 今でも悔いていることがあります。「少なくともお隣さんにはもっと早く発達障害者家族であることをカミングアウトするべきであった」ということです。

 その理由は、次のとおりです。

一軒家に転居してから、発達障害者家族であることをお隣さんにカミングアウトするまでの2年間もの長い期間、「お隣さんは我が家の騒音(泣き声や怒鳴り声)に対して不快に思っておられたでしょうが、それをずっと我慢していただいていたんだな」という申し訳ない気持ちでいっぱいです。

私達はたまたま温厚なお隣さんに恵まれたけれども、もしそうでない方であればトラブルになってもおかしくなかったと思います。
 一旦、トラブルになってしまうとお隣さんとの関係修復が非常に難しいことが多いようです。やはり、事前に予防するという考え方が大事だと痛感しました。

カミングアウトのデメリット

 発達障害者家族であることをカミングアウトすることは、必ずしも良いことばかりではありません。やはり気になるのは「発達障害者本人への悪影響」です。
 私の息子の場合、ご近所さんのお子様が息子と同じ小学校で同学年の場合は、息子が特別支援学級に通っていることがそのご近所さんらにはすでに周知の事実なのですが、それ以外のご近所さんはほぼご存知ではありません。
 また、発達障害の特性を正しく理解している方々はまだまだ少ないのが現状です。特に年配の方にその傾向が強いです。

 この状態で不用意に多数のご近所さん発達障害者家族であることが知れ渡るということは次のようなマイナス面があるかもしれません。


・本人の自尊心が傷つく(通学している学校や学年の異なるお友達に発達障害であることを知られたくなかった)。
・今まで仲の良かった友達が離れていく。
・差別的な扱いを受ける。
・疎外感(距離感)がある。

 実際、ご近所さんの中には、発達障害への理解が乏しい方も一定の割合でいらっしゃいます。中には強い偏見を持っている人もいます。それはもうしょうがないことですね。
 ですから、発達障害者家族であることをカミングアウトする場合、隣人の方やご近所付き合いのある方だけに限定しておいた方が良いかもしれません。

マメタ父さん
マメタ父さん
マンションにお住まいの場合、まずは告知は左右のお隣さんと管理人だけに限定した方がよい。

 実は、カミングアウトの後は私と妻にも微妙な変化がありました。これまでは割とフランクにご近所さんと会話をしたり、清掃やイベントなどにも積極的に参加していましたが、なんとなく控えめになったような気がします。

親の苦しみ:子が他人に迷惑をかけることが耐えられない!

 現実問題として、ご近所さんに「大声、騒音、悪臭、ゴミ放置、暴力」などご迷惑をかけてしまうのですが、仮にご近所さんが発達障害に対して理解のある方だとしても親としては自責の念で非常に苦しいのです。

マメタ父さん
マメタ父さん
ちなみに、親にASDの傾向のある場合は、子供が隣人に迷惑をかけてもあまり自責感がないことが多々あります。

 私の場合は、息子のADHD特性としてお隣さんに迷惑を少しでも軽減できるように努力しました。具体的には次の5点です。


防音対策
・息子の部屋とその前に廊下の窓をペアガラス仕様に改装
防音カーテンを設置
・壁の内側に防音材を設置(内装工事要)
・床や廊下に衝撃吸収防音マットを敷く(マンションにお住まいの方による下の階の住人への防音対策に効果的)

楽器(例:ピアノ、ギター)の練習:10ー17時のみ(夜間は厳禁)

しつけ:大声を出さない。窓をしっかり閉める。テレビの音量は小さめ

家の敷地周辺のゴミ拾いをする。

ガス・電気のスイッチオフを定期的に確認する。


 ①②③は騒音でご迷惑をかねないための対策です。実際、一軒家にお住まいの場合、音が部屋から野外にもれる原因のトップは窓です。
 騒音対策としてペアガラス仕様にすることは効果的ですが、かなりの経費がかかります。そこで、まずは応急処置として、防音カーテンの設置をオススメします。

 一方、マンションやアパートにお住まいの方で発達障害児(特にADHD)がいらっしゃる方は、子供が走ったり飛び跳ねたりしますと下の階の住人にドンドンという騒音被害を与えてしまいます
 そんな時は、床や廊下に衝撃吸収防音マット(厚み最大級の20mm)を敷き詰めるなどの対策を施しましょう(これはかなり騒音防止効果があります)。さらに、マットのクッション性によって子供が転んで怪我をすることも防止できますから、一石二鳥です。

マンションに住んでいる発達障害児(特にADHD)が走ったり飛び跳ねたりすることによるドンドンという騒音被害 イメージイラスト画像

 ④は庭の木々の落ち葉が隣人の家の周りに風て飛ばされたりするとご迷惑になります。
 また、他人が捨てたタバコの吸殻が家の前の道路に落ちていると頻繁に行き来するご近所さんにとっても気持ちの良いものではありません。

 ⑤については、万一に備えて火事の予防です。息子と妻はADHDの特性が強く、電気を消し忘れることが頻繁にあります。
 稀にストーブやヒーター類は加熱やショートによる事故の報道を見聞きしますので、念のために電化製品を使用する必要がないときはこまめにスイッチを消します。

 さらに怖いのは、シチューやカレーなど長時間煮込む調理の時にガスの弱火をつけっぱなしで他のことに気を取られてしまうことが稀にあります。また、調理や湯沸かしが終わった後、そのままガスの火を消し忘れていることも過去にありました。
 それゆえ、そのようなメニューの時は私がガスコンロを時々チェックしています。

マメタ父さん
マメタ父さん
ADHDの不注意特性は改善するものではありませんので、上記⑤については粘り強くやるしかないです。

ガスの火の消し忘れ防止

 想定外だったことは、息子がペアガラスにした窓の外側のガラスだけを開けたままにすることが多々あるということです。
 結局、ガラスがペアになった状態で窓を閉めていないと声や音はだだ漏れですからね(👨全く防音効果なし!)。見つけ次第、息子に注意して窓を閉めさせますが、機嫌が悪いと応じてくれません。

発達障害者家族の友人の事例

 私の知人で子供二人が重篤な知的障害をともなうASD+ADHDの方がいらっしゃいます。子供さんには強度行動障害(暴力行為・大声・脱走など)があり、稀ではありますが他人に危害を加えることがあったようです。

 その方のご近所付き合いの課題解決法は非常に合理的でした。具体的には次の通りです。


発達障害支援施設の近くに転居(徒歩圏内)

分譲住宅地の2区画分(100坪以上)を購入して左右と後方のお隣さんとの敷地境界線から3メートル以上のスペースを設けて住宅を建設(区画の周りには高い塀を設置)

発達障害の子供が二人いることを転居挨拶の段階でしっかり説明


 上から順に説明しますね。まず①の転居場所については「発達障害者支援施設に近いこと」が重要です。なぜなら、自宅を出てから発達障害者支援施設(高校までは支援学校・卒業後はグループホーム)までは両親のいずれかが同伴しますが、その時間と労力を軽減するとともに、移動時のトラブルを予防することができるからです。

 一方、発達障害者施設がある地域の住民は発達障害に対する意識の高い人が多くなる傾向にあります。
 なぜなら、普段の生活の中で発達障害者と彼らの親御さんとの触れ合いを目にする機会が増えますし、地域の自治会活動の一環として発達障害者支援をしているケースもあるからです。

マメタ父さん
マメタ父さん
発達障害に対する理解のあるご近所さんが増えると、障害者家族は自然と住みやすくなるんだよね!

 ②についてはかなりの経済的余裕がなければできませんが、子供の強度行動障害(例:暴力による破損・窓から物を投げ捨て・怒鳴り声)が深刻な場合はかなり有効です。
 特に、隣人に乳幼児や小学生がいる場合、容易にお隣の敷地に入らないように対策することは暴力で大怪我をさせてしまうリスクを軽減できます。

マメタ父さん
マメタ父さん
切ない話ですが、これが現実です。

 ③については、前後左右のお隣さんにご家族全員で挨拶に行き、発達障害の特性など詳しくお話しされたとのことでした。かつて、子供が「お隣さんの乳幼児の泣き声がうるさい」と激昂して攻撃を加えようとしたことがあったとのことで、その再発防止を徹底されています。

賃貸住宅 or 持ち家?

 「自宅が賃貸住宅なのか、持ち家(マンションまたは一軒家)なのか」によって、ご近所さんとのお付き合いの深さも微妙に異なるのではないでしょうか? 

 少なくとも持ち家の場合は、そこに長期間にわたり居住することを前提としているため、ご近所さんとの人間関係を前向きに構築する必要があります。

 例えば、持ち家で且つ発達障害の子供が幼少である場合、子供が成人になるまでの十数年間はご近所さん(特に隣人)とのお付き合いを避けることはできません。

 それゆえ、仮にお子様の発達障害が軽度であり、隣人に多大なご迷惑をかける可能性が低かったとしても、持ち家の場合は居住開始から一定の期間(1−2)が経過したくらいのタイミングで、少なくとも左右のお隣さんには発達障害者家族である旨を告知しておく方がベターではないでしょうか?

 一方、発達障害の子供(または配偶者)が今の居住環境(近所のお友達関係も含む)に馴染んでしまっているのなら、賃貸住宅なのか持ち家なのかにかかわらず、できるだけそこに長く住み続ける方が良いですよね。
 なぜなら、居住環境が変わると子供の発達障害への悪影響が懸念されるからです。

マメタ父さん
マメタ父さん
居住環境が変わると、発達障害の特性がより顕著に現れたり、生活の困難さが増すことがあります。

 そのような状況であれば、できるだけ早めに隣人の方には発達障害者家族であることを告知して、その区域社会全体で発達障害児を見守ってもらえるような人間関係づくりが有効です。

 一方、賃貸住宅であれば、いざとなればいつでも引越しできる強みがあります。その場合、子供の発達障害が軽度であり隣人へのトラブルリスクが低いのであれば、必ずしも隣人に告知する必要はありません。
 周りをよく観察しながら一定の距離を保ってご近所さんとのお付き合いをしていけばよいかと思います。

子ども会には参加するべきか?

 ところで、2月28日に音声配信サービスVOICY「虹色の朝陽」を聞いていましたところ、「子ども会への加入についてのお悩み」が配信されました。要点は次のとおりです。

子ども会に加入すると役員の集まりが大変。障害のある子を留守番させるのも話し合いに連れていくのも無理ゲーです。

引用元: VOICY「発達障害児個育て虹色の朝陽」2月28日配信

 「子ども会に入会して役員になってしまったら、発達障害の子供の面倒を見ながら子ども会運営のお手伝いができるかどうかとても心配」というリスナーさんからの意見に対して、VOICYパーソナリティのきみかさんは「役員の負担が大変なら、無理して入会しなくてもいいのではないか」「子ども会の行事に参加していないのなら、必ずしも入会しなくてもよいのではないか」とコメントされています。

 基本的には私も全く同意見です。役員になってしまったときの負担を心配されることは、発達障害児の親御さんのお気持ちとしてよくわかります。
 ただ、子ども会の規模にもよりますが、発達障害者家族の事情を説明すれば「いきなり役員ということはまずないだろう」と思いますが・・・。
 その辺りについては、とりあえず子ども会の役員の方または子ども会に加入しているご近所の方に相談されるのがよいでしょうね。

 ただ、上述の通り、「人間関係がまだできていない他人に発達障害者家族であることを告知することに抵抗ある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? そのときは、半年〜1年くらいの期間、ある程度の情報収集ができるまで様子を見るのがよいかもしれません。

 その一方で、子ども会の活動内容のうち地元の運動会やお祭りは野外活動なので、時間があれば子供を連れて見学するだけでも子供にとって刺激になることがあります(入会はしなくてよい)。
 もし、お子様が行事に参加したいと自ら言い出したのなら、「子供を参加させてあげる方向で、多少しんどくても親の側が日程調整してあげるのがよいのかな」と個人的に思います。

 ちなみに、うちの息子(ADHD)と娘(ASD)は人見知りですので、そもそも子ども会の活動に参加したいという気持ちがあったわけではないですが、地元の友達から誘われて自然と参加するようになりました。
 集団行動が苦手な子供でも、綱引き、ムカデ競争、金魚すくい、太鼓打ち、神輿の上に乗って音頭取りなど、「意外に楽しかった」なんてこともありますよ。

 長期的に見れば、地元の行事に参加することは発達障害児の教育(キャリアアップ)人間関係構築にもメリットが多いと思います。
 理想としては、親の都合や世間体よりもむしろ「子供自身が楽しいと感じている」ということが基本ですけどね。

お祭りでの太鼓打ち

カミングアウトの長期的メリット

 発達障害者家族であることをカミングアウトする目的は、短期的には上述のとおり「主にお隣さんとのトラブル予防」です。

 一方、長期的に見るとどうでしょうか? 例えば、持ち家でそこに長く居住することを前提とした場合、ご近所さんに発達障害者家族として肯定的に受け入れられ、上述の子ども会や自治会など地域全体で発達障害者家族をサポートできるような体制が築けると最高です。

マメタ父さん
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これにより虐待やニグレクトなどの家庭問題の早期発見や支援活動に役立つこともあります。

 そのような地域では、ご近所さん(地元の企業や役所も含む)とのお付き合いが発達障害者の方の進学・就活・就労などキャリア形成の支援に役立つことがあります

 ちなみに、私の知人の会社では障害者雇用枠での社員採用において近隣にお住まいの方を優先していますが、採用のきっかけはほとんど地元の方々とのコネです。
 実際、障害者の方としても職場がすぐ近くなので通勤の負担が少なく、保護者さんからも感謝されています。

ご近所トラブルの実例と予防策

 上述のとおり、事前に発達障害者家族であることをご近所さんにカミングアウトし、それなりのトラブル予防策を実施したとしても、いろいろな問題が起こり得ます。

 これらの問題の解決策については、地域的な偏見差別いじめ虐待・ニグレクト孤立化なども含めて別の機会に発信したいと考えています。

マメタ父さん
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これは非常にセンシティブな問題ですので、別途投稿予定です。

「お隣さんへの騒音対策」のおすすめグッズ

お隣さんに騒音迷惑をかけないための対策防音カーテン自宅の窓に簡単に設置できます!

マンションにお住まいの方で、下の階の住人に騒音迷惑をかけないための対策(子供が走ったり飛び跳ねたりするときのドンドンという音の緩和) → 衝撃吸収防音マット(厚み最大級の20mm)
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参考情報

●【投稿記事】発達障害者家族がご近所さんとうまくお付き合いする方法【総括編】

●【投稿記事】発達障害児がご近所さんから被る迷惑の事例4選とその対処法

●【投稿記事】「子供が発達障害であること」を親は職場にカミングアウトするべきか?

●【まとめ記事】子育て/家事/仕事の両立

●【まとめ記事】発達障害者の学歴とキャリアの成功事例

●【まとめ記事】発達障害者(知的障害を含む)のご家族の学歴とキャリアの成功事例

以上

2022年3月12日

マメタ父さん