⭐️ 記事ボリュームは6,623文字です。長文ですので、好きな項目から読んでください。あるいは、サクッと斜め読みしていただいても結構です。
はじめに
2022年5月14日の投稿記事では、発達障害者家族がご近所さんにご迷惑をかけないための対策について述べてきました。
逆に、発達障害の我が子が「ご近所さんの言動に対してストレスを感じている」あるいは「ご近所さんから迷惑を被っている」ということはありませんか?
例えば、発達障害児が感覚過敏(HSP)をともなう場合、「お隣さんの話し声・騒音(テレビや音楽)が気になってイライラする」という場合です。
健常者であるお隣さんとしては、許容範囲の音量という認識でしょうが、発達障害者としては看過できないわけです。
一方、発達障害児がご近所のわんぱく少年から虐められたり、暴力を受けたりするなどの被害は珍しくありません。小学校では特別支援学級の先生が障害児を守ってくれますが、学校外ではどうしようもありませんよね。
実際、どんなに十分なトラブル予防対策を施していても、不可抗力として生じてしまうトラブルもたくさんあります。
そのような時、話し合いにより発達障害者家族の事情や発達障害児の特性が相手方に理解してもらえるとよいのですが、互がいに歩み寄ることができず、自力では解決が難しい状況になってしまうことがあります。
本記事では、トラブルの具体例とその対処法について、私自身の経験を交えて発達障害者家族の立場から解説します。
本記事の【結論・要約】は次のとおりです。
● 発達障害者家族がご近所さんから被る迷惑の事例としては、お隣さんの物音や乳幼児の泣き声、好ましくないマナーやモラル、保護者からの嫌がらせ、ご近所の児童から暴力またはいじめがあります。
● 私達が発達障害者家族であると知ったご近所さんやママさん友達の中には、一定の割合で発達障害者家族と距離を保とうとする人がいます。その態度の現れとして、無視や仲間外れがあります。そういう方とはあえて交流しようとせずに、本当に信頼できるご近所さんだけとしっかり人間関係を深めよう。
● ご近所の児童から我が子がいじめや暴力を受けたときは、当事者間で解決するのではなく、学校を介して3者間で話し合いをする方が効果的です。それでも、解決しないときは、転校を検討することも必要です。とにかく、保護者としては、我が子が毎日を安全に楽しく過ごせるように最善を尽くすことが大事です。
本記事で、「お隣さんからの騒音に悩んでおられる聴覚過敏の発達障害児」にオススメするグッズは次のとおりです。
● 耳を覆うヘッドフォンタイプのイヤーマフ→ (子供用)・(大人用)
● 耳に付けてもほとんど気にならない小型イヤホンタイプ(「イヤーマフは重いから嫌だ」という方) → 高性能ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン
● 自宅の窓に簡単に設置したい! → 防音カーテン
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発達障害者家族がご近所さんから被る迷惑のパターン
発達障害者家族がご近所さんから被る迷惑の事例としては、次の4パターンです。
① お隣さんの物音や乳幼児の泣き声で困っている。
② ご近所さんのマナーやモラルがよくない。
③ ご近所さんから無視されたり、嫌がらせを受けている。
④ 我が子がご近所の児童から暴力またはいじめ(仲間外れを含む)を受けている。
次のチャプターで、それぞれ4つの被害の詳細を解説します。
お隣さんからの物音や乳幼児の泣き声
意外と知られていませんが、通常であれば容認される程度の音量であったとしても、感覚過敏を伴う発達障害者であるがゆえに悩まされているケースは割と多いです。
正確に言うと、ASD(自閉症スペクトラム障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)・LD(学習障害)という発達障害の特性の起因するというよりは発達障害に合併する聴覚過敏によるものです。
聴覚過敏とは、簡単に言いますと、通常の人よりも音をより大きく感じてしまうという聴覚の特性です。
また、複数の音が混在するときに、その中から特定の音を聞き分ける能力が不足している特性もあります)。
一般的に健常者と比べて発達障害者は感覚過敏である割合が高いと言われています。そのため、健常者であればそれほど気にならない程度の音量でも聴覚過敏と発達障害が合併する児童では音に異常なほど過敏に反応することがあります。
実際、お隣さんから聞こえる乳幼児の泣き声、テレビの音、日曜大工の作業音、空調の室外機の音でも不快に感じてしまうことがあります。中でも情緒障害がある発達障害児の場合は、不快が気持ちがより増幅してイライラに発展してしまうことがあります。
それ以外にも、例えば、自宅の近くに幼稚園、小学校、公園があるような場合、そこで遊んでいる子供の声が気になってしまうこともあります。また、自宅の前が通学路や通勤路になっている場合、多数の人が行き交うザワザワという雰囲気(会話と足音が入り混じった感じ)を不快に感じてしまうというケースがあります。
このような状況ではお隣さん、遊んでいる子供達、道行く人々に非があるわけではありませんので、苦情を言うことは難しいかな、と思います。もちろん、発達障害者家族であることをカミングアウトしたうえで、ご協力いただくようお願いすることはできますが・・・。
そこで、現実的な解決策として、自宅に防音対策(例:ペアガラス仕様の窓、防音カーテン、防音材を壁に設置)を施すなど発達障害者家族側での対策が有効です。
それでも、なかなか騒音の不快感が消えない場合は、耳を覆うヘッドフォンタイプのイヤーマフ(子供用)・(大人用)を付けることをお勧めします。イヤーマフはケチらずに高性能なものを使いましょう。
「イヤーマフは重いから嫌だ!」という方は、高性能ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホンもあります。
【私の友人の事例】
私の友人で「自閉スペクトラム症と知的障害をともなう聴覚過敏のお子さん(男子)のご家族」がおられます。その方の苦労話を紹介します。
その方が転居されたときに、お隣さんには1歳の赤ちゃんがいるご家族が住んでおられました。ある朝、彼のお子さんはその赤ちゃんの泣き声に耐え切れなくなったようで、お隣さん宅に「うるさい!」と凄い剣幕で怒鳴り込んだというのです。
事前に子供が重度の発達障害であること、暴力や暴言の可能性があることをお隣さんにカミングアウトしていたので、大きなトラブルには発展することはなかったとのことです。
【発達障害者家族の人気YouTuber ”あっちゃんファミリー”の事例】
四人家族のあっちゃんファミリーの長女のあっちゃん(ASD+ADHD)は典型的な聴覚過敏です。
NHKのクローズアップ現代で放送された番組で、「混雑したレストランでの食事中、周りの人の会話の声が不快で辛い表情のあっちゃんの映像」が流れます。
彼女は乳幼児の泣き声も苦手で、そのような状況に陥るとすぐに疲れてしまうという特性があります。あっちゃんは、防音対策として普段からイヤーマフを利用しています。
⭐️ 詳細はこちら↓
YouTube 「おはよう日本 ”大きな音は苦手”発達障害のありのままを知ってほしい」NHK=配信
マナーの悪いご近所さんの事例
マナーのレベルの判断基準を定めることは難しいのですが、健常者であればある程度のレベルまでは黙認できるようなことでも一部の発達障害者にとって非常に不快感やストレスを感じるような行為があります。具体的には次のとおりです。
① 自宅周辺の道路をうろうろしながら喫煙および吸い殻のポイ捨て(タバコの匂いとゴミによる汚れを不快に感じる事例)。
② 自宅周辺の掃除をしない(庭木の落ち葉・花びら・花粉・犬猫の糞などの掃除をしない→路上や自宅の敷地内の落ち葉による汚れ・糞の匂いを不快に感じる事例)。
③ 飲酒をともなう宴会の騒がしさが長時間続く(人の声とザワザワという雰囲気を不快に感じる事例)。
④ 自宅周辺でキャッチボール・ドッジボール・バトミントン・テニスの壁打ちなどをやる(ボールのキャッチや跳ね返りの音、道路のスペースが他人に占有されることを不快に感じる事例)。
⑤ 自宅周辺の道路に車やバイクを違法駐車する(自宅前の路上スペースが他人に占有されることを不快に感じる事例)。
例えば、ASDの特性のある発達障害児にとっては、上述のようなご近所さんの行為によって、発達障害児本人が認識している日常環境が不意に壊されることになりますので、その変化に対して強いストレスが生じてしまいます。このような状況は、発達障害児本人にとって、健常者が想像する以上にとても辛く悲しいことなんです。
上述の①〜⑤は通常の生活の中で多かれ少なかれ誰もが経験したことがあるかと思います。このようなご近所さんの言動について迷惑の程度の差はありますが、それほど頻繁でない場合はなかなか注意をすることはできないのが本音でしょう。
ご近所の人間関係で波風を立てたくないという心理も働きますし、お互い様という日本人の国民性もあるかと思います。それゆえ、我慢せざるを得ない状況の頻度が増えてくると、ますますストレスフルになって、爆発してしまうこともあります。
そんなとき、どうすれば良いでしょうか? まずは相手方に対して「相談」という形で改めて「感覚過敏や発達障害の特性を説明したうえで、相手方の言動により発達障害の我が子がストレスを感じていること」を丁寧に説明することが重要です。
例えば、「我が子がソワソワして落ち着かない、夜眠れない、暴力で物を壊してしまう」など具体的な影響を話すと辛い気持ちをわかってもらいやすいです。
そこで、発達障害の特性について一定の理解が得られれば、ご近所さんの側でできる範囲で改善をお願いすることが最も無難な解決策の一つです。
コツとしては、相手方を批判したり、責めたりはしないことです。相手方としては、素行を問題行動として指摘されるわけですから不機嫌になる方もいらっしゃるかもしれません。ですから、最初の相談伺いの段階では「お願い」という言い方をするとよいと思います。
もちろん、相手方の人柄や家庭事情が事前に分かっていればより話しかけやすいでしょう。そうでない場合、自治会長さんや仲のよいご近所さんにまずは相談することが無難かもしれません。必要なら、自治会長さんに同伴または仲介してもらって、相手方の当事者に相談をしてみてはどうでしょうか?
私の個人的な意見ですが、一番ダメなのは問題を放置して我慢し続けることです。そんなことをすると発達障害児はやがて体調不良や二次障害に陥る危険性があります。できるだけ、事が大きくなる前に対処してほしいですね。
ちなみに、お隣さんがゴミ屋敷になってしまい、悪臭や崩壊の恐れがある場合は、どうすれば良いでしょうか?
ゴミが崩れて被害が出る可能性があるなどの危険性があると、毎日が不安で気が休まらないですよね。しかも悪臭が漂うほどのレベルであれば、安全衛生上も子育てができる環境とは言えません。
もし、賃貸住宅や賃貸マンションであれば、転居することで解決できますが、一軒家ではなかなかそうもいきません。特おに、③の場合は不動産の価値を毀損している可能性も高いです。
この事例は私の知人で実際にあった話です。最終的に彼は自宅を損切りして売り払い、転居しました。
実際の解決方法としては、地域の自治会を通じて役所に相談することになります。決して当事者と直接交渉をしてはいけません。必ず第三者を介して行政指導を促してください。このとき、市会議員や代議士などとコネがあると非常に有効です。
【どうしても発達障害者家族であることをお隣さんにカミングアウトできないとき】
我が子が発達障害であることを相手方に公表したくない方も多数いらっしゃると思います。このときはどうすればよいでしょか?
①の路上喫煙に対しては、必ずしも発達障害であることをカミングアウトする必要はありません。我が子が嗅覚過敏、喘息・アレルギー、化学物質に対して過敏であるなどの理由のいずれかを持ち出して、相手方に改善を求めればよいでしょう。
同様に、②の犬猫の糞の後始末に対しては我が子が嗅覚過敏であることを、③の宴会の騒がしさや④のボールのキャッチ音や跳ね返り音に対しては我が子が聴覚過敏であることだけを告げて、相手方に改善をお願いすればよいです。
ちなみに、うちのASDの娘は嗅覚過敏、ADHDの息子は聴覚過敏です。
⑤については、とりあえず社会常識的な範囲で相手方に改善を促す程度でもよいかと思います。
ご近所さんから無視されたり、嫌がらせを受けたとき
ご近所さんから無視されたり、嫌がらせを受けるなんて、そんなこと本当にあるの? と思われる方も多いと思いますが、珍しいことではありません。具体的には、次のようなケースです。
① 挨拶しても無視される、あるいは微妙に避けられる。
② 子供同士の付き合いを制限させられる。
③ ママさんイベントや催し物があっても声をかけてもらえない。
④ ご近所さんに悪口を吹聴される。
もちろん、理由もなくこのような仕打ちを受けるとは考えられず、相手方が不快に感じるようなきっかけがあったはずです。
例えば、ご近所さんの気に触るような言動をしてしまったり、双方のちょっとした誤解やいざこざなどです。この章で深掘りしたい事例としては、無視されるきっかけが発達障害者家族であることと関連している場合です。
例えば、学校内で我が子は通常学級から特別支援学級に移行したときです。ご近所さんに発達障害をカミングアウトしていなくても子供が同じ学校に行っているため、我が子が発達障害であることは周知の事実になってしまいます。
これをきっかけに、発達障害者家族に対しても一定の距離を保とうとする人が少なからず発生します。その人達の態度表現の一つとして、発達障害者家族が無視や仲間はずれにされることがあります。いわゆる偏見差別です。
順に見ていきましょう。まず、①の無視については、相手方が発達障害に対して偏見を持っており、「あまり深く付き合いたくない」「一定の距離を持ちたい」と考えているようなケースです。
②の「子供同士の付き合いを制限される」というケースは、”あるある” です。これはシレッとされるためにしばらく気がつかないこともあります。
例えば、「今まで我が家に頻繁に遊びに来ていたお友達が急に来なくなった」「プールや遊園地などに誘ったが、断られた」「我が子が近所のお友達と近所や学校で会っても、あまり話してくれなくなった」などです。
③の「イベントや催し物があっても声をかけてもらえない」というケースも稀にあります。
例えば、Aさんの子供さんは発達障害で学校で問題行動を起こしているという噂が近所で広まって、地域のお祭りやイベントに声をかけてもらえなくなったというケースです。
また、ママさん友達の和(例:お茶会、飲み会、ピクニック)に入れてもらえないなどの差別を受けることもあります。
④の「ご近所さんに悪口を吹聴されること」は非常によくあることです。そういう人はどこでも一人二人はいますよね。時には、嫌がらせをしたり、高圧的な態度で接してきたりするような悪質な人もいます。
ただ、ちょっと気をつけないといけないのは、過去にトラブルになったご近所さんとの間にしこりが残っていたりすると、それが原因で悪口や嫌がらせをされることもあります。
それではこのような場合、どうすればよいのでしょうか? 現実問題として、相手方と人間関係を積極的に改善しようとすると逆効果になることも多いです。
ですから、嫌がらせを受けたり嘘を吹聴されるなどの看過できない実害または我が子への心的悪影響があれば、まずは学校または自治会に相談することも対策案の一つですが、解決にいたるかどうかは微妙です。最終手段としては、弁護士に相談することも想定しておいた方が良いでしょう。
まあ、子供に実害がないようであれば、そのような人は相手にしないで、信頼できるご近所さんとの人間関係を深めることに注力した方が良い結果を生むと思います。
我が子がご近所の児童から暴力またはいじめを受けたとき
この問題は上述の中でも、早急な対応が求めれます。対応が遅れれば遅れるほど我が子の傷心の程度は深まりますし、最悪の場合、大怪我や事件に発展する可能性もあります。
ご近所なので、いじめた児童が特定できれその子の自宅を訪問して保護者と話し合うこともできますが、なるべく学校を介して解決するようにしましょう。その方が、子供同士の関係性改善にも有効であるからです。
具体的には、学校長を仲介者として、学校側にいじめっ子の保護者と学校で面会して話し合いをする日時を調整してもらうやり方がベストです。必ず校長・担当教師を含めて三者間で協議するようにしましょう。
ちなみに、教育委員会に相談することはできます。地域によって部署名は異なりますが、障害者支援の担当部署が設置されています。地域や担当者によって対応や支援の質はかなり違うようです。実際のところ、教育委員会が学校を管轄指導するという上下関係があるわけではないので、どこまで協力してもらえるかは微妙です。
もし、学校や教育委員会を介しても解決しないときは、転校するという策もあります。住居が賃貸契約であれば、転居することは現実的な解決策です。しかしながら、一軒家の場合はそう簡単ではありません。
もし、相手方が話し合いに応じることもなく、誠意をもって解決する意思がないときは、弁護士に相談することも策の一つです。
もっとも、いじめによる被害(怪我や精神的苦痛)が看過できないほど大きければ、民事訴訟を検討してもよいかもしれません。ただし、経費・解決までの時間・裁判に費やす労力と精神負担は想像以上に大きいので、最終的には損得勘定も必要です。
「お隣さんからの騒音防止」のおすすめグッズ一覧
● お隣さんからの騒音に悩んでおられる方
・耳を覆うヘッドフォンタイプのイヤーマフ→ (子供用)・(大人用)
・耳に付けてもほとんど気にならない小型イヤホンタイプ(「イヤーマフは重いから嫌だ」という方) → 高性能ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン
・自宅の窓に簡単に設置したい! → 防音カーテン
⭐️ 本ページで紹介するグッズの品名(青字で表記)がアマゾンジャパン合同会社の商品販売サイトにリンクしていることがありますが、アフィリエイト広告(アマゾンアソシエイト)は設定していませんのでご安心ください。
参考情報
●【投稿記事】「発達障害者家族であること」をご近所さんにカミングアウトするべきか?
●【投稿記事】発達障害者家族がご近所さんとうまくお付き合いする方法【総括編】
●【まとめ記事】子育て/家事/仕事の両立
●【まとめ記事】発達障害者の学歴とキャリアの成功事例
●【まとめ記事】発達障害者(知的障害者を含む)のご家族の学歴とキャリアの成功事例
以上
2022年5月15日
マメタ父さん