ショートショート

創作詩1 “特別支援学級の御地蔵さん”

特別支援学級の御地蔵さん

はじめに

 本投稿では、ショートショート 第四作 ”特別支援学級の御地蔵さん” を発表します。今回は、特別支援学級を舞台に不思議なスクールカウンセラーのお話を詩の書式にアレンジしました。


《創作ショートショートのテーマ》 

 辛い毎日から逃れるために、思考と感情のバランス調整の一環として詩や掌編小説(ショートショート)の創作を始めました。

「発達障害児の世界」と「健常の大人の世界」とが不連続に交錯融合する「奇妙で切ない不条理の世界」が主題です。具体的には、発達障害者・精神障害者・生きづらさを感じている人々・世の中の偏見や差別に苦しんでいる人々が登場する物語です。

 なお、携帯電話の画面で詩をご覧の方は、携帯電話を横向きにしていただくと詩の各文が改行しませんので、より読みやすくなります。できましたら、パソコンの画面でご覧ください。各連および各行のレイアウトの美しさを味わうことができます。

本編:特別支援学級の御地蔵さん

息子が通う特別支援学級に不思議な先生がやってきた。

・口数は少なかった。
・ずっと、落ち着いていた。
・ちょっと、ふっくらしていた。
・ニコニコと、いつも微笑んでいた。
・なぜだかその人が一番人気があった。

・激しく吹雪く朝方、子を連れて小学校に向かった。
・その通りみち、子はあっちにフラフラこっちにパタパタ。
・子は枝に積もった雪を舐めて、はしゃいだ。
・なんだかんだで、20分も遅刻して到着した。
・校門の前で、その人は迎えてくれた。

・運動会の真っ最中、子がいなくなった。
・「脱走したかもしれない」と、ちょっとした騒ぎになった。
・捜しあぐねて、ふと教室を覗いた。
・子は自作の段ボール小屋の中で、うずくまっていた。
・そばにはその人がいた。

・子の体調が良くないと、連絡を受けた。
・子を引き取ろうと、学校に行った。
・ぐずる子を自転車の後ろに乗せて、家路を急いだ。
・100メートルほど過ぎて、信号待ちでふと振り返った。
・その人は校門前に立って、こちらを見つめていた。

・夜10時を過ぎたけれど、子は帰宅しなかった。
・家族総出で近所を捜索したけれど、子は見つからなかった。
・そこで、やむなく警察に通報しようとした。
・ちょうど、その時に玄関の呼び鈴が鳴った。
・ドアを開けると、子の後ろにはその人がいた。

子が卒業すると、その人もいなくなった。

終わり

* 脚注: ”真っ最中” の発音は「まっさいちゅう」ではなく、「まっさいちゅ」と短く切るべし!

参考情報

●【まとめ記事】その他のショートショート(詩または掌編小説)

●【まとめ記事】マメタ家の紹介と近況報告

2022年1月14日

香月 融