校外研修での保護者同伴要請を息子が拒否した経緯
息子はADHDに伴う精神不安定を理由に高校3年時を休学していますが、4月からの復学に向けて準備をしているところです。実際、復学直後の登校時間や授業内容など具体的な話し合いに入りました。
その最中に、6月に予定されている”3泊4日の校外研修(必修科目)”について「息子だけ保護者同伴で準備を進めたい」との要請が私達家族にありました。
それを知った息子は激怒! 「なんで俺だけ保護者同伴なんだ? 保護者同伴なら研修に参加しない」と部屋に閉じこもってしまいました。
息子としては、「他の生徒はみんな一人で研修に参加しているのに、自分だけ親が同伴なんて恥ずかしくて参加できない」という気持ちだったと思います。
私も妻も困り果て、学校に相談しましたが、学校側としては「なんとか保護者同伴でお願いしたい」とのことでした。そんな状況下で、息子は予想もしなかった行動に打って出ます。
なんと「自分一人で学校担当者とガチで交渉する」というのです。
学校側が息子の校外研修に保護者同伴を求める理由
この研修は毎年1回実施される必修科目ですが、学校側が息子に保護者同伴を求めるのはそれなりの理由が次のとおり2つあります。
① 前回の研修参加では息子はなんとか無事に達成できたものの、途中で体調不良を起こして時々休憩したりしながら取り組んだという苦い経験があります。
② 精神不安定で度重なる入退院の後に1年休学という現状を踏まえ、学校側としては研修期間中に息子が精神不安定になった場合を想定して事前に対策を講じておく必要があります。
研修を引率する教職員の人数も限られているので、学校側としては息子の参加に関して保護者に同伴を求めるのも止むを得ないという考えがあるようです。
研修場所も遠方ですので、保護者に連絡をとっても直ちに現場に到着できるわけではないという危機感もあったと思います。
以上の理由から、私も妻も学校からの要請を断ることは難しいと考えていました。
私は、息子の研修参加に同伴することはしない代わりに、次のような代替案を学校側にすることも念頭にありました。
「息子が研修期間中は私が近くのホテルに滞在して、息子にトラブルが発生すればすぐに駆けつけられるようにすること」
息子と学校との一騎打ち
2月21日、息子は6月の校外研修の保護者同伴の撤回を求めて交渉するために、一人でデイサービスに向かいました。
息子はいつもなら時間ギリギリあるいはちょっと遅刻して自宅を出るのですが、この時はなぜか通常より30分も前に出発しました。気のせいかもしれませんが、息子の顔の表情は神妙でした。
ちょうどデイサービスが終わったであろう頃に、学校から妻に電話がありました。結論から申しますと、息子の希望通り「他の生徒と同じように息子さん一人で校外研修に参加してもらってよい」とのことでした。
ことのき、学校側の担当者の説明は極めて協力的で誠意的でした。私はそれがとても嬉しく、学校の担当者さんには感謝せずにはいられません。
それから、しばらくして息子が帰宅しました。息子はどう感じているのか、納得しているのかが気になっていましたので、本人に「どうだった?」と声をかけました。本人は堅い表情で、こう答えました。
「学校としては保護者同伴を強制するものではないので保護者なしでOKということ」
なんとなく本人も一安心しているように見えました。その夜、息子は友人と楽しそうに電話をしていましたので、息子自身も復学に際しての心配事の一つは解消されたようです。
全くの想定外だった息子の行動変化
今回の件では、とりあえず息子の希望がかなって良かったと思います。その一方で、私が意外だったと感じた息子の行動は、次のとおり3つあります。
① 「親が同伴することは恥ずかしくて耐えがたい」と息子が感じたこと
② 息子は私や妻に頼らずに、「一人で学校と交渉する」と言い出したこと
③ 今回の交渉に先立ち、息子は学校を説き伏せるため理論武装していたこと
①について、「親が同伴することを恥ずかしい」と感じる息子はまともに精神発達していると安心しました。
これまで医師や専門家から「発達障害の特性として親離れが難しい」と聞いていました。そういう意味で今回のケースが息子にとって「自分自身を親から断ち切って自立したい」という意識の表れであれば、逆に嬉しいことです。
②については意外すぎてビックリ仰天でした。これまでの息子なら自分の希望通りに事が進まないと癇癪を起こして「もう研修に行かない」と駄々をこねるパターンでした。ところが、今回はそういうことは一切なく、割と冷静だったからです。
しかも私や妻に相談することもなく、シンプルに「次回のデイサービスで学校に行ったときに自分一人で担当教師と話し合う」と自分から言い出したことです。
③については、偶然にも息子の優れた「論理的思考」が発揮できたケースと言えるかもしれません。
「そもそも校外研修の目的は生徒の自立促進なのだから、親が同伴はおかしい」
確かに言われてみるとその通りです。息子はこの矛盾点を指摘することで学校に対して十分に反論できると自信を持っていたのかもしれません(👨もしそうなら、息子もなかなかやるじゃないか!)。
息子のために私達家族ができること
ここまではとりあえず結果オーライですが、これから実際にどうなるか、息子を見守っっていくしかないですね。
実際、息子のメンタルも波がありますので、これからもいろいろなトラブルが起こるでしょう。その時は、できるだけ本人の意思を尊重しつつ、無理をさせないで、私自身は裏方として協力していくことが良いのかな、と思っています。
そして、学校関係者、医師、看護師の方々と良い関係性を維持しながら、時には役所や発達支援センターの方々の力も借りつつ、いわば総力戦ですね。
参考情報
●【まとめ記事】マメタ家の紹介と近況報告
●【まとめ記事】発達障害者の学歴とキャリアの成功事例
●【まとめ記事】発達障害者(知的障害を含む)のご家族の学歴とキャリアの成功事例
以上
2022年2月23日
マメタ父さん